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【司法書士が解説】相続放棄のメリットとデメリット
相続が発生したとき、相続人には「相続する」「相続しない」という選択肢があります。
相続に関する制度のうち、特に注意したいのが「相続放棄」です。
相続放棄をすれば、借金などマイナスの財産を背負わずに済む一方、財産の一切を受け取れないというデメリットもあります。
今回は、司法書士が相続放棄の基本からメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
相続放棄のメリット
相続放棄のメリットは、以下の4点です。
- 借金などマイナス財産を引き継がなくて済む
- 将来的なトラブルを防げる
- 生活への影響を最小限にできる
- 他の相続人への配慮にもなる
それぞれ確認していきましょう。
借金などマイナス財産を引き継がなくて済む
相続放棄の大きなメリットは、被相続人(亡くなった方)が抱えていた借金や保証債務などの負債を相続しなくて済む点です。
プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も相続対象になるため、放棄によってさまざまなリスクの回避につながります。
将来的なトラブルを防げる
不動産や借金の名義が相続人に移ると、管理や返済、処分をめぐって親族間でトラブルになるケースがあります。
相続放棄をすれば、こうした責任から解放され、将来的な争いを未然に防げます。
生活への影響を最小限にできる
相続放棄をすると、債権者からの請求や、不動産の維持管理の負担を避けられます。
特に相続財産に価値の低い不動産や、負担の大きい土地が含まれる場合は、相続放棄によって余計な労力を回避できます。
他の相続人への配慮にもなる
自分が相続放棄をすると、次順位の相続人(兄弟姉妹や甥姪など)に権利が移ります。
結果として、特定のひとに財産を引き継いでもらいたい場合や、自分が関与しない方が良いと考える場合に役立ちます。
相続放棄のデメリット
相続放棄にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットもあります。
プラスの財産も一切受け取れない
相続放棄をすると、借金などの負債だけでなく、預貯金や不動産などのプラスの財産もすべて放棄します。
部分的に「借金だけ放棄して財産は受け取る」ということはできません。
次順位の相続人に負担が移る
前述のように、相続放棄をすると、その権利義務は次の順位の相続人に移ります。
先ほどはメリットとして説明しましたが、結果として、親族に借金などの負担を背負わせてしまう可能性もあります。
手続きが期限付きで複雑
相続放棄は、相続開始(被相続人が亡くなったことを知った日)から原則3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
期間を過ぎると放棄できなくなるため注意が必要です。
まとめ
相続放棄は「借金から自分を守る手段」であると同時に、「家族全体に影響を及ぼす選択」でもあります。
放棄すれば安心できる一方で、資産も同時に手放すため、判断を誤ると生活に思わぬ影響が出るかもしれません。
もし相続に関して少しでも不安があるなら、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
お気軽にご相談ください!